2005年10月26日
盛土作業 余分な仕事
現在、残土処理場で土砂を1:1.50勾配(横に1.5m、縦に1.0mの角度)で土砂を盛っています。高さ5.0mごとに1.0m幅の小段を設け、大きな土砂の階段みたいなものを作っています。
その作業をしている重機オペレーターさん(Nさん)が非常に「うまい」のです。ここでいう「うまい」は単純に求められる形状を作るという意味ではありません。作業が早いという意味でもありません。この重機オペレーターさんは余分な仕事(お金を貰えない仕事)を殆ど作りません。それでいて作業スピードも速く、形状も正確です。だから「うまい」のです。私が見た中では最高です。
1.左図のように、土の大きな階段を重機(バックホウ)で作っていきます。
2.斜面の長さは一段当たり約9.0mです。1回では重機の腕が届かないので、2回に分けて斜面を締め固める作業を行います。重機で土砂を盛り だんだん上がっていきます。
3.余分な仕事が発生するのは、1回目の斜面締め固めが完了し、2回目の斜面締め固めをする時です。
4.だいたいのオペレーターは仕上げた斜面に対しては、もうそれ以上何も考えず(余分な仕事を発生させない対策をとらない)に、そのまま上部斜面の仕上げに入ります。
5.その結果どうなるでしょうか。物は上から下へ落ちます。つまり盛土をするための土砂が斜面を転げ落ち、小段へたまっていくのです。ひどい時は小段の高さが変わってしまうほど落とすオペレーターもいます。それで済む場合は構いませんが、通常 小段には計画高があり、土砂が落ちる事で高さが変わると規格値をオーバーしてしまいます。
仕方がないので土が多量に落ちた場合は人力にて土砂除去作業を致します。ここで設計上で反映されないコストが発生いたします。オペレーターの中には、「土砂が落ちるのは当たり前や」と言い、最初から始末をする気のない人もいます。でもオペレーターNさんの場合は殆ど落ちません。落としません。
6.ではどのような方法で、オペレーターNさんは対応していたのでしょうか。特別新しい方法ではありませんでしたが、確かに理にかなっていました。下部の仕上がった面の天端を10cmほど押し出すのです。こうする事で土砂の受け部分が出来ます。土砂が落ちにくくなるのです。
7.土砂が留まりやすくなった事で小段への落下が最小なっただけでなく、斜面のつなぎ箇所をしっかりと締め固めでき、強度もあがります。最後に押し出した箇所をしっかり押さえ込み完了です。非常にいい方法ですね。
8.このような感じで作業しました。ここは最初土木現場 パイプ内部 土砂除去1で紹介した箇所です。
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この記事へのコメント

暗渠・カゴ枠・盛土・整形と弊社の仕事内容と似ていて、記事を読んでいても正に同感でした。法面整形はオペさん次第ですよね!
コメント、また共感して頂いてありがとうございます。確かに土工事はオペレーターさんの腕で全く違ってきます。この記事のオペレーターNさんは、今井ブログ内記事「林道現場 木材 搬出方法」でもその技術のすばらしさを披露してくれました。若い頃は長野県の険しい山を切土していたそうです。
弊社と仕事内容が似ているそうですね。お互い事故には気をつけましょう。ご安全に!

「うまい」の定義、共感させられました。「速く」、「正確に」が良いわけですが、残作業も加味して「効率良く」ですね。私は業界は全く異なりますが、この「うまい」は共感するところがあります。何度も繰り返した作業で発生する無駄を「あたりまえ」と捉えずに「どうにかならないか?」と考えることで「うまく」なっていくのだと思います。作業内容ではなく、作業への取り組み方からしてそもそも違います。ともすれば同じ回数作業しても上達度は全く異なってきますね。
興味深い話、ありがとうございました。
コメントありがとうございます。建設業にとって施工現場は他業種の工場と同じで生産活動そのものです。しかし工場のようにずっと同じ箇所ではありません。現場の場所・施工時期は毎回違います。ここに生産の不安定さが常に発生します。
不安定だからこそ「余分な仕事」はできません。ですから、このようなオペさんと出会うと教えられる事も多く、また非常にありがたいのです。現場にはすごい人が、さりげなく居ます。